今週のクウガ -EPISODE 47- ≪一条さん、俺、なります……≫
新年第一回のタイトルは「決意」。決意、というのはもちろん、五代君が自ら「凄まじき戦士」になってダグバを倒そうと決意した、ということ。
冒頭で回送シーンの形をとって描かれたダグバの殺戮と破壊の威力とダグバとクウガとの闘いの結末からすれば、もうクウガが凄まじき戦士、すなわち黒クウガの究極体(アルティメットフォーム)となってダグバを倒す他には人類に未来はないということは明白です。しかし…! 凄まじき戦士になることは、単に戦闘能力を増強するというだけではなく、桜子さんの碑文解読によれば「聖なる泉(優しさや愛)が枯れ果てる」ことであり、また椿先生の予測によれば「闘うだけの生物兵器になる」ことを意味している。…いや、一応霊石アマダムがそれを持つ人の意志を受けて力を与えるのだとすれば、五代君が「みんなの笑顔を守るため」という心を持ち続けている限りはそうはならない、という希望はあるものの、なってみないことにはどうなることやら本当のところはわからない、という危険な選択です。果たして究極の力を得たあとの五代君はどうなってしまうのか? 五代雄介としての心は保持できるのか、人間の身体に戻ることはできるのか?
当然、そのことは五代君もずっと考えていたことでしょう。たとえダグバを倒しても、自分が第二のダグバになってしまったら? そもそも究極体になったところで本当にダグバを倒すことができるのかという疑問すらある。しかし、今の状態---ダグバに叩きのめされ、好き勝手に暴れ回られ、人々は不安と恐怖の中で息をひそめて暮らしている、そしてそれに対して自分は何もできずにいる---は五代君にとっては堪えられないものでしょう。どのみち今のままでは人間社会はダグバに滅ぼされてしまう、それくらいなら、自分の心を信じて、当面自分のできること、すなわち凄まじき戦士となってダグバを倒すことが、最大の「俺にできる範囲の無理」ということになります。だけど、さしもの楽天的な五代君でも、その後自分がどうなるかには「(^^)b」とは言い切れないものがあったのでしょう。……それで、冷たい雨の中をバイクに乗って「0号は必ず自分が倒す。そしてそのあと冒険の旅に出る」といろいろな人に挨拶して回ったわけですが、これはもちろん、「もう戻って来ない(来られない)」という永遠のお別れの挨拶であったことは明白です。五代君のいつにない沈んだ表情がとても印象的でした。
今は真冬なので、東京周辺ではこんなザーザー降り続く雨というのは珍しいのですが、どうやらダグバは雷を操る力を持っているらしいので、その影響で異常気象になったのか、あるいは人々の不安や絶望の心を反映しているのか、今回は一日中雨でした。わかば保育園の子供たちもどんよりしていますが、そんな中で、みのりちゃんは一人、兄を信じて笑顔と希望を保ち続けいます。いよいよ陣痛に入った恵子先生も、みのりちゃんに励まされて、希望をもって不安な世の中に新しい命を生み出そうと頑張ることになりました。五代兄妹の笑顔と明るさは偉大です。そういえば、今回は恵子先生をはじめ神崎先生と教え子の拓くん、榎田さんとサユルくんなど色々エピソードがあった人々の「あの人は今?」をちゃんと見せてくれたという意味もあったのですね。(実加ちゃんと蝶野君の「その後」が出てこなかったところがちょっと残念でしたけど)神崎先生、榎田さん、椿先生と、それぞれが自分の立場から“未確認生命体出現後”の社会を振り返り、思いを語ったところも興味深かったです。今日会った人たちがそれぞれどんな風にそのお別れの言葉の意味=五代君の未来を感じ取ったかは想像するしかないですが、それぞれに理解して、五代君に感謝や激励や思いやりの言葉をかけ、そして希望やヒントをも与えてくれようとしたようでした。
そんな五代君の決意とは別に、警察は独自にちゃんと対未確認生命体捜査を地道に進めていました。気象庁と共同開発の「0号探知レーダー」っていうの、一瞬笑っちゃいましたが、ダグバが雷を操ったりするのなら、確かにアメダスで感知できる動きがあるのかもしれないな、と改めて納得。もしこの先長く続くようなら「今日の0号予報。長野南西部に出現確率80%、今日は外出を控えて、火の元に注意しましょう」みたいな予報が流れたのかしら…。それに、科警研ももっと強力な弾薬を開発してたらしいし…一応、リントもやることはやってるのよね。それなりに効果は上がっているらしいし…「未確認生命体監視カメラ」というのが各所に設置されていたのも面白かったです。「B1号」こと薔薇女がどんどん服装が地味(デザインが普通)になっていくのは、案外全国指名手配で顔写真がばらまかれたからかも(笑)
そうそう、薔薇女といえば、次回はついに一条さんと薔薇女の決着がつくようですね! 薔薇女出没の報を五代君には知らせずに、桜井さんと二人で現場に踏み込む一条さん。もちろん、五代君に時間をあげたいという気持ちだけだったのかも知れないですが、ほんとは桜井さんにも知らせずに一人でカタをつけたいと思っていたのかも知れない。でも、二人きりで会ったとしても、今以上に二人が、あるいはリントとグロンギが解り合えるとも思えないから、結局どちらかがどちらかを倒すということしか、決着はあり得ない…のかなぁ、やっぱり……。それにしても、あの部屋に残されていた研究書みたいなものって、超古代におけるリントとグロンギのいきさつと何か関係あるのかな。羊皮紙(?)に書かれた古代文字の文書の意味するものも気になります。できれば一条さんと薔薇女がじっくり両種族の文化や社会について問答をするような場面を見たいですねぇ。まあ、それは無理でしょうけど、また一瞬でも、二人の息詰まる美しい見つめ合いが見られるかと思うと楽しみですね。
ところで、ダグバ。「究極の闇」って、いったい何だったんだろう? 人間社会から見れば、今の状態、すなわちいつダグバが現れて無惨に殺されてしまうかわからない、そしてそれにたいして対抗する術をもたない、という不安と恐怖の中で暮らしていく、ということは十分「闇」な状態だとは思いますが、でも、それってダグバ自身にとってはどういう意味があるのでしょう? どうやらダグバはグロンギに対しても人間に対しても普通の意味で「支配する」という存在ではないようだし(グロンギはあらかた自分で殺しちゃったわけだしね(^^;))結局「楽しい」ということだけが、彼が得る利益(?)なわけですよね。それって、すごく不毛……まあ、もともと生産的な存在ではないことは確かですが、それにしても楽しいだけでこのままどんどん人間を殺していって、アンタ、最後にどうするつもり? それでも楽しいわけ? と言いたいものがありますね。あまりにも無目的で無軌道。あと先考えずに「楽しい」だけを追求して「遊ぶ」ことだけに注力するという、それはまるで、無邪気に蟻を踏みつぶしてはニコニコ笑っている「恐るべき幼児」の姿です。…イマドキの若者の理由無き殺人などに通じるものがあるようで、それも一つのテーマなのかな?と深読みしてしまいます。クウガも、単に遊びでのある大きなおもちゃ、すなわち格闘ゲームの強敵キャラのひとつに過ぎないようで、古代において封印されたことも、別にそれを恨んでいるとか憎んでいるというより、「こないだは油断してて負けちゃったぁ」「今度はボクが勝ってやるんだ」「だって、ボクが一番つよいんだもんっ!」という感覚みたいです。こんなヤツを頂点にしてるグロンギっていう種族の存在意義もまたよくわからない(というか、社会が成立するんだろうかという疑問がある)ですが、ほんと、そのへんのすっきりしないところを、薔薇女と一条さんの対話からか、あるいは桜子さんの研究からか、是非解説して欲しいものです。
次回はついに「なれたんだね、究極の力を持つものに(^^)」だそうなので、いよいよアルティメットフォームの登場ですね。どんな力をもっているのか、その決着はどうなるのか、楽しみです。
最後に、今週の「ついつい目がいっちゃったこと」
- ●「もっと強くなって、ボクを笑顔にしてよ」五代君のモットー、みんなを笑顔にするために、っていうのはダグバにも伝わってたのね(^^;) だって、この意味を普通に表現したら「ボクを楽しませてよ」の方が自然だと思うけど、わざわざ「笑顔にする」っていうワードを使ってるところがパロディ。おや?ダグバ、あんた意外と賢いじゃない?(笑)
- ●ダグバ君、雷に続いて、一瞬にして人や物を炎に包んでしまう力があるようですね。でも、この凄惨な殺戮を、ブルーを基調とした幻想的な回送シーンとして表現したところが、さすがです。(もっともそれで話が1回飛んじゃったとパニックした視聴者もいたらしいが…(笑))
- ●シルエットだけだったけど、薔薇女、またお召し替えのようですね。今回は髪をアップにしているようなので、ちょっと残念。あの登場時の華やかな姿をもう一度見たい!
- ●「あのときのお返しをしてやるんだぁ」って、楽しそうだね、ダグバ君。完全にクウガのことを楽しい遊び友達だと思っているらしい…(^^;)
- ●ダグバ、最後の台詞で初のグロンギ語。……ちょ、ちょっとぉ!下手じゃない?その台詞回し?(^^;) (ってリントの私が指摘するのはおこがましいですが(笑))「そろそろ、やろうかな」って言ったような気がしますが、グロンギ語解読不十分につき、ちょっと自信なし。
-2001.01.07 放映-
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