今週のクウガ

-EPISODE 48-

≪薔薇女散る! そしてダグバとクウガは……≫

五代君の挨拶回りはまだまだ続きます。今回は別れの辛い順というか、近しい人、事情がわかっている度合いが高い人々との別れだけに、切ない台詞と表情のオンパレードで、見ている私も涙、涙…でした。

まずは「ポレポレ」のおやっさんと奈々ちゃん。冒険の旅を愛する五代君を一番良く知っている人たちですが、結局、最後まで五代君=4号ということには気づいていなかったのですね(^^;) 「俺、クウガだから…今度こそ0号を倒したいんだ」と言われて、なお、不思議そうな顔で見送る二人。そういえば、クウガっていう名前は全然マスメディアに登場してなかったみたいだから、いきなり言われても「空我??」っていう感じだったかもしれないですね。でも、青空が好きな五代君を知っているから、意外と「空我」(空ハ我ナリ、かな、我空トナル、かな?)と言われてなんとなくイメージつかめちゃったりするかもしれないですね。五代君がここで見せる苦悩は、これまでずっとクウガであることを秘密にしていて、さらに詳しい事情を知らせずに姿を消すことへの申し訳なさがメインなのでしょうか。雨の中飛び出して行く五代君を、不思議な胸騒ぎで見送りながら引き留める術をもたない二人が、なんだかとても気の毒でした。

次はみのりちゃんと保育園の子供たち。いつになく物静かで思い詰めた様子で、子どもたちにお守りを作ってやる五代君の様子に、敏感な子供たちは何かを感じたのでしょう、静かに見守っていました。「冒険に行くから」と子供たちに語って聞かせる五代君を黙って見つめるみのりちゃん、それだけで全てを察して余計なことを言わないところが泣かせます。「そのぶん、みのり先生ががんばるから、ね?」と子供たちに言った言葉は、兄への「私は大丈夫だから、安心してね」という宣言だったのでしょうか。「どんな雨だって必ずやむ。この雨の向こうには必ず青空がある」という雄介の言葉に、誰よりも強い願いを込めて頷くみのりちゃんの目は、とても雄弁でした。この妹なら残していくことに不安はない(ないといったら嘘になるけど)と思わせる確かさがあって、ほんとに、この兄妹を育てたご両親は立派だなぁと思ってしまいます。ここで子供たちに会うことによって、「この子たちの笑顔と未来を守るために…」という思いを強くして、五代君は自分を励ましていたのかな。子供たちに言っている言葉は、自分自身に向けて語りかける言葉でもあったのかも知れません。

そして桜子さん。一条さんとともに、クウガとして苦悩し成長していく五代君をずっと見守ってきた人。五代君の前向きな心の力に引っ張られるように着実に前を向いて歩くようになり、今や五代君の気持ちや決意を代弁できるほどに、いつの間にかその心に寄り添っている人。前回からすでに五代君の決意を感じ取り、そしてそれが正しい決断であることを信じている彼女には、五代君がここへ来るということも掌を指すように見えているのですね。かすかに轟くバイクの音に、雨の中飛び出して行くところは、やっぱり恋人のように見えました。息をはずませて走ってきて、精一杯の笑顔で迎えたところが素敵でした。「聖なる泉を枯れ果てさせたりしちゃダメだよ!」「それから、究極の闇をもたらす存在になんかなっちゃダメだよ」と世話焼きの母親みたいに色々言いながら、「信じてる」という気持ちをめいっぱい込めているようで、なんかすごくかわいいなぁと思ってしまいました。泣き笑いみたいな顔で「いってきますっ!」と言った五代君、実はちょっと桜子さんの胸で泣きたい気分だったんじゃないかなぁ…それって、最後にママに甘えてみたい旅立つオトコノコの感傷かも、と思ったりして。…でも、一条さんからの無線でしっかり現実に戻って、甘い夢を振り捨てて旅立って行きました。見送る桜子さんの「窓のカギ、開けておくからね…」というつぶやきが、二人のこれまでの関係を象徴しているようで、微笑ましいと同時に哀しかったです。

ところで、五代君と合流する前に、一条さんにもある意味での「決別」の時が訪れていました。…それはもちろん、薔薇女との最後の対決。廃屋で日本語の書物と謎の古代文字のメモを発見した一条さんの前に姿を現した薔薇女。「リントは我々と等しくなったな…」というのは、歴史書で人間社会の変遷をたどって得た結論なのか、それとも自力でグロンギを殺すまでになった警察のことを言っているのか? 「おまえはリントを狩るリントの戦士のはずだ」という指摘には、さすがの一条さんもグサッときたみたいでしたね(^^;) でも、それはグロンギあるいは薔薇女にとってどういう意味があるのでしょう? もうこの世界は争いを好まない古代リントの社会とは違うグロンギライクな世の中になっているから、自分たちの勝ちだ、ということなのでしょうか。「究極の闇の目的は何だ?!」 という一条さんの問いかけ、私もその答えは是非聞きたかったです。…でも、いつもそうなんだけど、薔薇女って、言いたいことだけポツッと言って、去っていくのですよね、しかもいつも一条さんをぶっ飛ばして…(^^;)

でも、今回はちょっと手加減してない? いつもはぶっ飛ばされると一条さん、動けなくなっちゃうんだけど、今回はすぐさま起きあがって追跡できたんですね。まあ、やられる方も学習してるってっこともあるかもしれないけど、どちらかというと、一条さんが追ってくることがわかっているのに背を向けてみせた薔薇女は、自らを殺させるための「誘いの隙」を作ったような気がしています。なぜ一条さんに撃たせたか? 1-自分を殺させることで、「リントの戦士」の手を汚して思い知らせてやろうと思った。2-ダグバを無事に復活させ究極の闇が始まったから、もう自分の役目は終わったと思い、自ら命を絶とうと思った。 3-どうせ相容れない二人だから、いっそ殺す者と殺される者という特別な関係になりたかった。…ってまあ、3はないでしょうけど(笑)いずれにせよ、もっと対話して色々な謎を解き明かしてほしかった(そしてできうることならもうちょっと二人が心を通わすような展開を見てみたかった(^^;))私としては、一条さんの有無を言わさない発砲は、かなり乱暴であっけない幕切れだったという感じがします。一条さんにとって、彼女を撃つ他には選択肢はなかったのかな?(合同捜査本部としても「逮捕して事情聴取する」という方針はいっさいなかったようですが)すごい形相で撃ってたところを見ると、彼女を殺さないことには精神のバランスが保てないような感じになっちゃってたのかな。怒りとも悲しみとも苦悩ともとれるすごい形相の一条さんと、血を流しながらも微笑んで倒れた薔薇女の表情は、とても対照的でした。最後に薔薇女が微笑んで言ったグロンギ語の台詞、誰か訳してくれないかなぁ。

ともあれ、薔薇女が海中に没し、古代文字のメモも一緒に流されてしまったようで、グロンギに関する全ての謎はまた封印されてしまいました。そして、薔薇女の死は長野にいたダグバにもすぐ伝わったようです。それを感じたらしい一瞬「あ……」という顔をしたダグバは、けっこう美しかったです。はい。そして、「そうか…じゃあ…」という感じで無言でニッと笑ったのは、どういうことなんだろう。別に「バルバの仇をとってやる〜」とか思ったようでもないし、淡々としていて、むしろ薔薇女の消滅が何かのスタートの合図だったような感じもしました。もしかして「あれこれうるさいねーちゃんもいなくなったし、これで自由に遊べるぞっ!」ってな感じだったのかしら? ……ダグバ……君って何考えてるんだか、そもそも何か考えてやってるんだか、全然わかんないよ……(--;) 君がグロンギの責任者なら、ちゃんと説明するか、せめてもうちょっとまとまった意味のある行動をとってくれ〜〜と言いたいここんところの展開です。「待ってるよ、思い出のあの場所で……」というメッセージも、いかにもふざけてますよね。

とまあ、そんな茶々はともかく。一条さんと五代君はダグバの待つ九郎ヶ岳へと向かいます。一条さんはいつもの覆面パトじゃなくて小回りの利く汎用ビートチェイサーで、仲良しツーリングだったのですね! ライダー姿の一条さんも、また素敵でした。二人同時にバイクを止めて同時に降りてヘルメットをとったところ、よく揃っていてほんとに仲良しです。五代君がここへ来て、いきなり「一条さん、俺の弱点はベルトだそうですから、ここ撃ってくださいね」と言い出したのはけっこうドキッとしました。自分が恐ろしい存在になってしまったときは、一条さんに始末をつけてもらおうとか、ちゃんと考えていたんだなぁと思ってジーンとしてしまいました。そこまで決意してクウガの使命を全うしようとする五代君が不憫でならない一条さんは、とても辛そうです。 五代君も痛々しいけど、「君にこんな回り道をさせたくはなかった…君には冒険だけしていてほしかった」とどこまでも自分を責める一条さんもとても痛々しく哀しいです。それに答える五代君の「俺、良かったと思ってます。一条さんに会えたから…」っていうのは、もうなんか愛の告白みたいで、見てるこっちが照れちゃいましたけど、でも、そう言ってもらっても、そしてその言葉が嘘じゃないってことがよくわかっても、やっぱり辛い一条さん。五代君の最後の変身を見守る表情は、複雑です。

そして、いよいよアルティメットフォーム!ずっとずっと、アルティメットフォームになるためには、巨大な怒りとか憎しみとか悲しみとかを契機にしないといけないと思いこんでいたので、本人が「なるぞ!」と思っただけでなれてしまったのはすごく意外、ちょっと拍子抜けだったのですが。でもまあ、かなり精神的に追いつめられて極限まできた形、ということなのでしょうね。「なれたんだね、究極の力を持つ者に(^^)」と嬉しそうなダグバ。五代君と一条さんの悲壮さと好対照のあの軽さ、あの笑顔…ああ、やっぱりこいつは大物かも知れないと思い知らされましたね(笑)だけど、ダグバの怪人体はかっこいい! 復活時のビデオのシルエットよりもシャープだし、色も純白とメタルカラーで、強そうだけどゴツすぎずお洒落。「究極の力を持つ者」同士の闘いっていったいどんなことになるのだろう、と思いましたが、なんかすごそうだったのは最初にお互いを炎で包んだところまでで、あとは結局、素手の殴り合い、ともすると白服と五代君という二人の男の子の(つまり人間体の)殴り合いの映像で表現されていました。結局、同じくらいの力だと最終的には精神力がものを言うんだということなのかなぁ…ダグバは殴っても殴られてもアハハ…アハハハ…とどこまでも楽しそうに笑い続け、五代君は泣きながら拳をふるっていたところが、とても対照的で、象徴的でした。何をやっても面白半分、遊びでしかないダグバより、守るものがあって必死でやっている五代君の方が強いのかもしれないな、と思う反面、殴るたびに心に痛みを感じている五代君は、楽しくてしょうがないダグバより負荷が高くて辛そうだな、という気もします。

白い雪の上で、赤い血をまき散らしながらの闘う二人、最後にお互いの打撃で血を吐きながらドッと雪の上に倒れます。そこへようやく雪をかき分けながら追いついてきた一条さんが、動かない二人を発見。(そんな、むごいっ!)「五代っっーーーーーーー!!」一条さんの叫びが雪原に哀しく響く。果たして二人は死んでいるのか? ………というところで終わった今回。「空我」というタイトルが、エンディングテーマの「僕は〜 青空に〜 な〜る〜♪」と重なって、ああやっぱり五代君はお空の向こうに行っちゃったのかなぁ…と悲しく考えていると、予告編が追い打ちをかける。青空の映像におやっさんの声「あいつ、青空が好きでね…」しかも、タイトルは「雄介」! 五代君はどうなっちゃったの? 一条さんはどうなっちゃうの? いよいよ次で最終回。全ての謎は解き明かされるのか?

最後に、今週の「ついつい目がいっちゃったこと」

薔薇女のお召し替えは、白いスーツに白いストール、白いブーツの白ずくめでした(^^) これって、撃たれたときの映像の鮮やかさを狙ったものだったのね。髪をアップにしたのも、雨に打たれながらの最期のシーンで、髪がびしょびしょぺったんこにならないための配慮だったのか!と納得。細部まで気を遣って、美しい敵役を演出してくれてありがとう(^^)
ところで、廃屋には桜井さんと二人で踏み込んだはずだったのに、薔薇女と桜井さんは全然鉢合わせしなかったのね〜(^^;) 全てが終わって、報告の電話を入れてるときになってはじめて桜井さんがいたことを思い出しました。桜井さん、「なんか一条さん、いいとこ取りだなぁ…」とか思ってないかな?
朝から茨城・千葉・東京・長野とバイクで回った五代君。確か桜子さんと別れたときはもう暗くなってたから、ダグバと闘ったのは夜だと思うんだけど、明るかったですね。…それともバイクで雪の九郎ヶ岳まで行くのに、朝までかかっちゃったのかな?(^^;)
五代君とバイク並べて走って来た一条さん。でも、五代仕様のBTCSと白バイ用のってずいぶん性能が違うらしいから、追いつくの大変だったんじゃないですか?(笑)ってまあ、そこは一条さんのドライビングテクニックでカバー??
五代君と一条さんのお別れのシーン、台詞が男二人の会話とは思えないくらい恋愛ものっぽかったのですが(いや、そうはいってもやはり感動的だったし、一条さんは素敵だったのですけどね)、音楽もまたとってもとってもメロドラマチックでしたね。思いっきり切なくなりました。
笑いながら殴り合うダグバを見て、なるほど、この笑顔が欲しかったのかぁ…!とやっと納得しました。このいかにも何も考えてなさそな(無邪気な、と表現してあげるべき?)軽薄な笑い! これがダグバの本質だったのね〜
雪の中、鮮血の闘いは映像効果抜群でした。しかもイイモンの五代君が黒で、悪役のダグバが白という対照もけっこう斬新でしたが、五代君はともかく、ダグバ、寒かったでしょうねぇ、あの服装…さすが究極の闇をもたらす者!!

-2001.01.14 放映-

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