日曜の朝の密かな楽しみ

- 01 -

≪クウガのリアリズム(2)≫

クウガのリアリズムにおいて、もう一つ私が気に入ってるのは、「登場人物が安易に固有名詞を使わない」ことです。

クウガの怪人たちは、古代遺跡から蘇った「グロンギ族」という人間とは全く別の邪悪な種族で、グロンギ語という独自の言葉を話します。当然怪人の一人一人にはグロンギ語の名前があって仲間内では呼び合ってるしキャストのテロップにもちゃんと出てくるけど、人間にはグロンギ語も彼らの社会のあり方もわからないわけだし、いわんや名前なんて知るわけもないから、警察は登場順に「未確認生命体第○号」と番号をつけて呼んでるのです。

で、クウガである五代雄介青年(以降“五代君”と表記)もそれに倣って「待て、43号!」とか言ってるのね。これはまったく理にかなっていると思うのですよ。(あ、そうそう、クウガという名前も初めは本人も知らなくて、グロンギに呼びかけられてそういう名前だと知ったのですね)それと、最初はクウガもグロンギだと思われていたため警察では「第4号」と呼ばれているというのもいいでしょ。

もちろん、謎の古代種族というだけではあまりにも説明不足なので、ちゃんと「古代の碑文」というのがあって、それの解読と現代における活動からの推測とでグロンギの謎が少しずつ解き明かされていく、というのも気に入ってます。あと、「現時点でわかっていること」が統一されていて、「どの登場人物が何を知っていて何を知らないのか」ということもしっかり描き分けられているところもよく出来ています。

最近はグロンギ族も日本語をしゃべるようになってきて(放送開始から半年近く、仲間内での会話は字幕なしのグロンギ語オンリーだったのです!…ってまあそれもなかなかおどろおどろしくて良かったのですが)、ポツリポツリとヒントになるようなことを言ってくれるので助かりますが、まだまだ謎は多く、碑文の解読をやっている考古学専攻の大学院生・桜子さんの活躍が期待されます。

いずれにしてもこれまで、謎なはずの敵の固有名詞があんまり当たり前みたいに人々の口に上るということに違和感を感じていた私としては、クウガにおけるグロンギ族のあり方にはとても好感が持て、リアリティを感じるのです。 

-つづく-

       
戻る

次へ

 

興味がわいて来た方は、こちらへどうぞ!