日曜の朝の密かな楽しみ - 01 -
≪クウガのリアリズム(1)≫
念のため言っておきますが、私は決して特撮マニアでもヒーローおたくでもありません(いや、それが悪いというわけではないですが)。幼稚園から小学校低学年のころ、リアルタイムに仮面ライダー1号・2号・V3くらいの放映は観てましたが、中身はうろ覚えだし、女の子だから「ごっこ」に興じたこともなく(さらわれるとか殺される役はやらされたけど)、仮面ライダーシリーズに対する深い思い入れも特にないのです。
…つまり何が言いたいかというと、ヒーローものが好きで観てるわけでも仮面ライダーだから好きだということでもなく、私の中でのクウガの位置づけはあくまでも「ドラマ」だということ。ヒーローものに詳しいわけじゃないので、無責任ですが、他のものとの比較もかなり限られた範囲に対するものでしかないので悪しからず。
さて、そんな私にも「クウガって、仮面ライダーシリーズが大好きだった人たちが、もっと良いもの、もっと本物を作ろうと、愛情と情熱を込めて作ってるんだなぁ」ということは観ていて伝わってきます。
その結果、コンセプトとして出てきたのが「リアリティのあるドラマ作り」ということ(番組サイトのプロデューサーのコメントより)で、それはしっかり実現されていると思うのです。
確かに、変身ヒーローという根本からして、どこがリアリティなんだ?という感じもしますが、それを言ったら、普通のドラマだって「そんなのあり?」って突っ込みたくなる設定はいくらもありますよね?(結婚式場から打掛姿のまま走ってきて騒ぎまくる花嫁とかさ…)だけど、無理な設定や出会いから始まっても、ストーリーが面白くて、場面場面で描かれる心情がリアルに感じられたら、多少(多々)リアリティに欠けるドラマでも楽しめるわけだから、その無理な設定が「古代から蘇った邪悪な種族と闘う変身ヒーロー」ということであっても別にいいじゃない?
じゃあ、私が共感するクウガのリアリティとは何かというと、結局、これまでのヒーローものに感じていた「それっておかしいよね〜」というところを、しっかり埋めてくれているというところかなと思います。
例えば、いくら正義の味方でも戦闘の巻き添えで建物を破壊したりしちゃっていいのか?とか、こんなに悪の組織が暴れてるのに警察は何やってるんだ?とか、一般市民の生活はどうなってるんだ?とか……まあ、そんなことはおかまいなしな社会という「設定」だと割り切ればそれでもいいのですが、けっこう気になったりします。
で、クウガの場合、ちゃんと警視庁が「未確認生命体関連合同捜査本部」というプロジェクトを組んで捜査してるし、怪人が出るとその行動パターンを分析して市民に予防策を呼びかけてるし(一応功を奏しているようだ)、クウガと怪人の闘いで大爆発が起きるとマスコミがクウガバッシングをしたり、それで日和った警察上層部がクウガを切ろうとして現場の反発を買ったりするし、怪人がはびこる社会で生きることに不安を感じる市民の話が出てきたり……と、いろいろ「社会とグロンギ族(怪人)」「社会の中のクウガ」を追求しているところに、誠意を感じるのです。
-つづく-
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